「源氏物語を読む会」報告

投稿日 2019年4月26日

2019年4月25日(木)     「源氏物語を読む会」 第35回報告
                       
 いよいよ、「末摘花」のクライマックス。姫君の屋敷で、初めて光源氏がその姿を目にします。
雪の朝、末摘花はいざり出てきます。庭を見ているふりをして、源氏は横目を使って見ると背が高く、背中が丸まっている。「あー、やっぱり」と胸がつぶれる思いがする。さらに驚いたのは鼻。まるで象のように垂れて、先の方は赤くなっている。身体はお気の毒なほど骨ばって、黒い皮衣の肩が尖って見える。
 久保貴子講師はおっしゃいました。「ちっちゃなもの、小さいものこそ美しいというのが、当時の美意識ですね。竹取物語には三寸(約9センチ)のかぐや姫が誕生します。その中で、末摘花は源氏に会うのだからと気張って毛皮の服を着て出たのでしょう。いくら寒いといっても、ふつう家で毛皮なんて着ません。その上、何も言わないでいるのです」。
 会員たちから末摘花に対する苦笑い、失笑が起こります。あまりに引っ込み思案で、あまりに時代遅れで、あまりにチグハグで。そうした滑稽さはそれとして、久保講師はとても慎重に言葉を選びながら、末摘花を解説していきます。
 「身分制社会のこの頃、末摘花は常陸宮の娘であるという高貴性を備えています。源氏は臣籍降下している身分なのです。ところが実際の末摘花はこのありさま。それを生涯、見守っていくという物語なのですね」。
 世間でこの巻は、おかしみを意味する「おこ物語」という読み方がある。しかし、久保講師は、そうとしか生きられない末摘花をしっかり見つめ、読み込んでいく。笑い者として読むだけでは、源氏物語の深さや人生の重さを学べませんよ、と戒めのように聞こえました。

次回は第16章「歳暮、末摘花、源氏の元日の装束を贈る」の途中から最終章までを予定。和歌は7番から14番まで。

<日野稲門会>北川賢治&勝子、京極英二、鈴木武彦、鷹尾清文、高橋英子、玉木雅治、本間崇夫 一般会員をあわせて20人。

今後の日程は以下の通り        
5月23日 (木)10時30分〜
6月=未定


過去の源氏物語を読む会